9月2日より発売が開始された小島秀夫監督作品『METAL GEAR SOLID V: TPP』。本作のオープニングおよびチュートリアルに関する豆知識、そして物語の根幹に触れるかもしれない情報をご紹介したいと思います。



まず、本作『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』 (以下MGS V: TPP)が『メタルギア』シリーズの作品であると明かされる前、VGA 2012で発表されていた謎の作品『The Phantom Pain』のトレイラーで開発はMoby Dick Studioという誰も知らないデベロッパーが担当していることが明らかにされていました。

Moby Dickとは、1851年に発表されたアメリカ人小説家ハーマン・メルヴィルの長編小説「白鯨」に登場する白いマッコウクジラのことです。この小説は、捕鯨船の船長エイハブと乗組員たち、そして白鯨モビィ・ディックを中心とした作品で、物語の語り部はイシュメールという人物が担当しています。

『MGS V: TPP』本編をスタートした方はお分かりになるかと思いますが、序盤部分でスネークはエイハブと呼ばれ、包帯を顔に巻いた男性はイシュメールと名乗ります。スネークは左手を失い、義手をつけていますが、一方で「白鯨」のエイハブはモビィ・ディックに片足を食われ義足をつけているという共通点があります。

また、『MGS V: TPP』の主軸となるのは、復讐の鬼と化したスネークですが、「白鯨」のエイハブもまた、モビィ・ディックに復讐せんとする狂気に支配されています。エイハブは、黒人などをはじめ、多種多様な人種を束ねる船長であるため、ダイアモンド・ドッグズで様々な人種の兵士たちを束ねるスネークと似ている点も興味深いです。このように、両者は様々な類似点が見られます。

エイハブにとっての復讐の相手はモビィ・ディック。
ではスネークにとってのモビィ・ディックは誰なのでしょう。サイファー?スカルフェイス?それとも…?

二元論でどうにかなる話でもないのですが、エイハブが善であるならモビィ・ディックは悪になるのでしょうか?もうすこし視点を変えればエイハブは復讐に執着し、憎しみに身を任せるあまり、いつしか悪に堕ちていったとも考えられないでしょうか。
『MGS V: TPP』で印象的なワードは"悪に堕ちる"だと個人的に思うのですが、そう考えれば、スネークとの共通点がさらに増えます。

 エイハブの船ピークォド号は『MGS V: TPP』でもスネークが使うヘリとして登場しますが、「白鯨」の中でピークォド号の乗組員はいつしかエイハブの狂気に取り込まれ、彼らも復讐に駆られます。その結果、エイハブはモビィ・ディックに海底へと沈められ、ピークォド号は沈没。語り部であったイシュメールをのぞくすべての乗組員が死亡します。この場合、ピークォド号の乗組員とは、ダイヤモンド・ドッグズのメンバーを指すものと思われますが、この結末が意味するものとはいったい。

『MGS V: TPP』のイシュメールが担う役割や、この先の『メタルギア』および『メタルギアソリッド』シリーズへと繋がる壮大なミッシングリンク、そして本作の結末のヒントが「白鯨」に隠されているのではないでしょうか。
僕はまだ、アフリカに戦地を移したばかりですが、内包された謎をじっくりと楽しむため、資源採集に行こうと思っています。